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■オリジナル作品:「百花深処」(目次

「百花深処」 <本能寺の変>

 『本能寺の変 秀吉の陰謀』井上慶雪著(祥伝社)という本を興味深く読んだ。初版は2013年5月。まず本カバー表紙裏の紹介文を引用しよう。

(引用開始)

京都、岡山、福知山――
現地取材でわかった新事実の数々
◎死の前日に信長が本能寺で行った茶会の真の目的とは?
◎秀吉の高松城水攻めは、実際には行われていなかった。
◎光秀が祀られている御霊神社に奉納されていた系図には、わざと間違いが記されていた。
――茶道に精通する研究者が、徹底的な現地取材と資料渉猟によって約四三〇年ぶりに明らかにした「光秀の冤罪」!

(引用終了)
<フリガナ省略>

著者は茶道研究家として当時の茶道具を分析する中で「本能寺の変」の真相に気付いたという。以下、同書の目次から、主だった主張を並べてみよう。

序章――光秀は冤罪を着せられた
● 実行犯は光秀ではない
● 『信長公記』のクライマックスシーンに複数の間違いが
● 『信長公記』の著者、太田牛一は現場にいなかった

第一章――その時、秀吉はどこで何をしていたのか
● 秀吉の「水攻め」は虚構だった
● 信長に援軍を要請した恐るべき真相
● 「中国大返し」は過酷すぎる“箱根駅伝”

第二章――なぜ秀吉は信長を裏切ったのか
● 秀吉のハングリー精神と非情さを形成した生い立ち
● 信長が秀吉を選んだのではない。秀吉が信長を選んだ
● 偽書状から明らかになった真犯人は「秀吉」

第三章――死の前日、本能寺で信長は何をやりたかったのか
● 本能寺に持ち込まれた三十八点もの茶道具
● 茶会の相手は「公卿衆」ではない
● 信長を京都におびき出すための罠

第四章――「日記」が語る、秀吉の陰謀
● 公卿たちの日記は、あとから都合よくリライトされている
● 信長はどこへ消えたのか
● 秀吉の陰謀を知っていた京都の三人

第五章――塗り替えられた歴史
● 信長の息子たちは、なぜ天下をとれなかったのか
● 安土城を炎上させたのは誰か
● 本能寺を襲った軍団の正体

第六章――「明智光秀・御霊神社」の謎
● 光秀を祀る神社は、「本能寺の変」実行犯の領地にあった
● 光秀は祀られる資格を有していた
● 徳川家康も、光秀が「本能寺の変」の実行犯とは思っていなかった

ということで、詳細は同書をお読みいただきたいが、纏めると「当時中国地方にいた秀吉は、そのまま信長に従っていては天下が取れないことを憂い、信長を本能寺に軽武装でおびき出すチャンスを策謀し暗殺、その罪を負わせるべく光秀を殺害、信長軍団を懐柔、書状等により朝廷、足利家、その他戦国大名に対して情報操作を行い、天下取りを画策、その後数年がかりで目的を達成した」となる。

 以前<関東戦国時代>の項で、『北条氏滅亡と秀吉の策謀』森田善明著(洋泉社歴史新書)という本を紹介したことがある。戦国大名の北条氏は、秀吉に従うことを約束していたが、その実行直前、「上洛拒否」と「名胡桃城強奪事件」を秀吉に捏造され、無理矢理合戦を強要されて滅んだという説。今回再読したところ、書状を巧みに使った情報操作や目的の複合化など、本能寺と共通する点が多いのに驚いた。著者の「おわりに」から引用しよう。

(引用開始)

 管見のかぎり、これまでに天正十八年(一五九〇)に滅びた北条家の無実を主張した歴史研究者はひとりもいない。そのため北条家は、現在にいたるまで「愚かにも自らの過失によって滅びた」と信じられたきたのである。
 だが、北条家が滅びた真相は、本書で述べたとおりだ。
 この四二三年ものあいだ、たくみな「情報操作」によって真実を覆い隠し、歴史研究者たちの目をくらませていたのは、ほかならぬ豊臣秀吉だったのだ。

(引用終了)
<同書 251ページ(フリガナ省略)>

この本の初版は2013年9月。参考までに同書目次のヘッダーを載せておく。

【序説】定説が語る北条氏の歴史的評価
第一部 東国情勢と北条氏
【第一章】冷静な判断ができた北条氏政
【第二章】小牧・長久手の戦いと上杉家の動向
【第三章】天正大地震と徳川家康
【第四章】北条と徳川の絆
【第五章】反豊臣から親豊臣への転換
第二部 豊臣秀吉の策謀
【第六章】定説を覆す「名胡桃城事件」の真相
【第七章】天下統一と生贄としての北条氏
【終 章】小田原開城と北条家の滅亡

 以前<信長における父性>の項で、信長暗殺について、イエズス会が主犯もしくは殺害の背後にあったのではという説を紹介したけれど、時の権力者による正史「光秀謀反説」は、様々な新事実によって再考が求められていると思う。この時代史の表と裏をさらに研究したい。
「百花深処」 <本能寺の変>(2019年01月19日公開) |目次コメント(0)

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