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■オリジナル作品:「百花深処 I」(目次

「百花深処」 <関東戦国時代>

 先日ブログ『夜間飛行』で、関東の地域学問「関東学」を紹介し、武士のルーツを地域の古代史に探ったが、こちら『百花深処』では、その武士たちが活躍する戦国時代の関東に関する最近の本を紹介したい。

 まずは去年(2017)11月に出版された『戦国大名の危機管理』黒田基樹著(角川ソフィア文庫)。紹介文を本帯表紙とカバー裏表紙から引用しよう。

(引用開始)

飢餓と戦争の時代
民衆を守るために大名がとった秘策とは?

戦国屈指の名君と呼ばれた北条三代・氏康。彼が領民を守るために行った秘策とは?武田信玄や上杉謙信の小田原侵攻、慢性化する飢餓……。郷村を維持するための対策として、検地を行い領国把握に努め、さまざまに重なる税と夫役の負担を整理。飢饉のときには、領民の生活に寄り添って目配りすることで未曾有の危機を乗り越えたのである。はじめて民政を行い、領国経営を成し遂げた戦国大名の真像に、民衆の視点から迫る。

(引用終了)

北条氏康の政治については前回<天道思想による統治>の項で纏めた。そのとき引用したのは『北条氏康』伊東潤・板嶋恒明共著(PHP新書)。本のカバー表紙裏と帯裏表紙を再掲しておく。

(引用開始)

奇妙な方法で領国を拡大し続けている大名がいた。信長の「天下布武」とは真逆の「禄壽應穏」や「四公六民」といった旗印を掲げ、民との対話を重視し、その声を聞き入れ、彼らの命と財産を守ってやることで大国にのし上がった北条氏である。(第七章より抜粋)
その北条五代の中でも傑出した事績を上げ、北条氏を躍進させた三代目北条氏康。河越合戦における天才的軍略、民を重視する理想的内政などの卓越した手腕は、同時代を生きた謙信、信玄が最も恐れたものであった。
江戸の泰平を築いた、稀代の名将の素顔を生き生きと描く意欲作!

戦国時代に北条氏があったからこそ、われわれは人間の「善」や「正義」を信じられるし、あの時代にも民主主義に近い政治形態があったのだと思うと救われる気がする。(第七章より抜粋)

(引用終了)

 次は去年の10月に出た『享徳の乱』峰岸純夫著(講談社選書メチエ)。副題には“中世東国の「三十年戦争」”とある。本帯表紙、カバー裏表紙の紹介文を載せよう。

(引用開始)

「応仁の乱」以上の大乱を知っていますか?
「戦国」は関東から始まった!

列島大乱の震源地は関東だった!
古川公方と関東管領上杉家の怨念の対立、将軍足利義政の介入。生き残りをはかる在地武士の絶えざる離合集散と守護との軋轢は、やがて京へと飛び火して「応仁・文明の乱」を誘発した。利根川を境とした仁義なき抗争が地域の再編をうながし、渦を巻く利害と欲望が「戦国」の扉を開く!

(引用終了)

室町幕府に対抗する東国の独自性・特殊性を描く。戦国時代幕開け頃の話である。

 次は『関東戦国史』黒田基樹著(角川ソフィア文庫)。『戦国大名の危機管理』の著者がその前に書いた関東戦国史。副題には「北条VS上杉55年戦争の真実」とある。本カバー裏表紙の紹介文を引用する。

(引用開始)

信長の出現、秀吉の天下統一で、戦国時代は終焉を迎えた。天下取りの舞台は西日本にあったといわれてきたが、戦乱の始まりも終わりも、実際は関東の動きが基準になっていた! 関東の動向をなぞるように、畿内では室町幕府の秩序を脅かす下克上が相次いだ。関東の覇権戦争の中心にいたのが西から来た新勢力の北条氏と、旧来の関東秩序勢力である山内・扇谷の上杉氏である。両氏の関東支配権を懸けた争いから戦国史の真相に迫る。

(引用終了)

戦国大名の政治勢力を規定する国衆の視点から戦国大名を捉える内容。

 次は『戦国北条記』伊藤潤著(PHP文芸文庫)。出版は2016年11月。『北条氏康』(2017年9月)の共著者がそのおよそ一年前に出した北条五代(早雲・氏綱・氏家・氏政・氏直)の物語。カバー裏表紙の紹介文を引用する。

(引用開始)

国府台、河越、三増峠の各合戦や、小田原籠城戦――。北条五代を「合戦」と「外交」を軸に読み解くことで、関東における戦国百年の実相が見えてくる! 伊勢盛時(のちの北条早雲)による伊豆平定から、小田原で豊臣秀吉に屈するまでの興亡の歴史を、最新の研究成果を盛り込みドラマチックに描く。従来の北条氏のイメージを一新させる戦国ファン必読のノンフィクション。(後略)

(引用終了)
<フリガナ省略>

北条五代約百年の歴史を詳しく知ることができる。

 最後は『北条氏滅亡と秀吉の策謀』森田善明著(洋泉社歴史新書)。2013年9月出版。副題は「小田原合戦・敗北の真相とは?」。本カバー表紙裏の紹介文を引用する。

(引用開始)

◎世の中の常識
時代は天下統一の直前だった。無能な北条氏は、秀吉の力を甘くみて上洛要請を拒否し続けた。さらに、真田氏の名胡桃城(群馬県みなかみ町)を強奪して自ら戦争状態を招き、滅亡してしまった。

◎本書の核心
北条氏は、時代の流れを認識し、秀吉に従うことを約束していた。しかし、その実行直前に、「上洛拒否」と「名胡桃城強奪事件」を秀吉に捏造され、無理矢理合戦を強要されて滅んでいった。

(引用終了)

北条氏滅亡の裏史を描く。『戦国北条記』の中で紹介されていた本。

 以上、最近読んだ関東戦国時代に関する著書6冊を紹介した。おかげで周辺の地理にも大分詳しくなった。関東の地域学問「関東学」。これからもいろいろと勉強したい。
「百花深処」 <関東戦国時代>(2018年06月21日公開) |目次コメント(0)

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