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■オリジナル作品:「百花深処 I」(目次

「百花深処」 <父性の源泉 II>

 「父性の系譜」のここまでを、<父性の源泉 II>として纏めておきたい。<信長における父性>の項で、列島の鎌倉・室町時代までの父性の源泉、

(1) 騎馬文化=中世武士思想のルーツ
(2) 乗船文化=武士思想の一側面
(3) 漢字文化=律令体制の確立

に、戦国時代、「西洋文化=キリスト教と合理思想」が加わることを見た。

(1) 騎馬文化=中世武士思想のルーツ
(2) 乗船文化=武士思想の一側面
(3) 漢字文化=律令体制の確立
(4) 西洋文化=キリスト教と合理思想

 複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」

において、A側は長く漢文的発想が担っていたが、戦国時代以降、漢文的発想と西洋語的発想とは共存、その後長い時間をかけて漢文的発想は英語的発想に置き換わってゆく。ただし、思考ツールに漢字・漢文を使用する(1)と(2)は、その後も長く(3)の影響下にあった。A側について、

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日本古来の男性性の思考は、空間原理に基づく螺旋的な遠心運動でありながら、自然を友とすることで、高みに飛翔し続ける抽象的思考よりも、場所性を帯び、外来思想の習合に力を発揮する。例としては修験道など。その美意識は反骨的であり、落着いた副交感神経優位の郷愁的美学(寂び)を主とする。交感神経優位の言動は、概ね野卑なものとして退けられる。
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とその特徴を整理した。
 
 戦国時代、西洋文化の認識法たる「弁証法」が伝わったが故に、列島に「反転法(うっちゃり)」というユニークな認識法が生まれた(<反転同居の悟り>)。

弁証法:正・反・合による進展
反転法:正・反の反転

この反転法は、(1)〜(4)のミックス成果といえる。

 ここまで発掘した日本のユニークな思想、集団構造、認識法、宗教、男性性美意識は、

中世武士の思想
近世の家(イエ)について
<反転同居の悟り>
修験道について
隠者の系譜

 信長亡き後、秀吉は国を守るためにキリスト教を禁教とした。そして、島原の乱を契機に、徳川幕府は「鎖国」に踏み切る。次回からの「父性の系譜」探求は、近世・江戸時代に入る。(1)〜(4)はどうミックスし、何が生み出されるのか。日本のユニークな思想、集団構造、認識法、宗教、美意識と併せて、じっくりと見てゆこう。
「百花深処」 <父性の源泉 II>(2017年08月01日公開) |目次コメント(0)

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